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資産運用

単純に高配当利回りという理由で投資する危険性(=リスク)とは?高配当利回りのメリットとデメリット両面に言及する。

株を持っていれば現金が毎年貰える配当金。こつこつお金が入ってくる感覚は非常に嬉しいものがあります。

将来は配当金だけで生活していきたいという人もいらっしゃるんじゃないでしょうか?

 

配当金をもらえるというだけで無条件に歓迎する方もおおいかと思います。

しかし、必ずしも配当金を拠出することが投資家にとってプラスであるとは限らないのです。

本日は配当金のメリットと知られざるデメリットについてお伝えしていきたいと思います。

配当のメリット

当然現金が毎年入ってくるのは嬉しいというのは配当金のメリットとして挙げられるのですが、実は配当金のメリットはこれだけではありません。

このメリットを説明する前にまず言葉の定義を確認していきます。そんなの知ってるよという方は読み飛ばして下さい。

配当利回りと配当性向

配当利回りというのは、例えば株価が1000円の企業が毎年配当を30円出した場合、配当利回りは3%となります。式にすると以下になります。

 

配当利回り
=
一株当たりの配当金
÷
株価

 

配当利回りが20%の企業があったとして(基本はありませんが)、

その銘柄が来年株価が2倍になり同じ配当利回りを維持したとすると持ち値ベースでの配当利回りは40%になります。

 

配当性向 = 配当金総額 ÷ 純利益

 

次によく配当利回りに似た言葉として、配当性向という言葉を聞くと思います。

この配当性向というのは、稼いだ利益の中から何%を配当金として株主に還元するかという指標です。

純利益が100億円で30億円を配当金として拠出する場合の配当性向は30億円÷100=30%となります。

 

配当性向
=
配当金総額
÷
純利益

 

配当金のメリット

例えば株価が1000円の時に配当が100円とすると配当利回りが10%となります。因みに2018年3月現在日本で最高の利回りは7%なので非常に高い数値です。

では、この企業に何かしらの悪い事象例えば純利益の大幅な減少や不祥事が発生して、株価が500円に減少したとします。

この場合の配当利回りはなんと20%になるのです。配当利回りの式の株価が下落することにより、配当利回りが増加するんですね。

 

配当利回り⤴ = 一株当たりの配当金 ÷ 株価⤵

 

そして流石に配当利回りが20%ともなれば流石に買が入り株価が下支えされます。つまり配当利回りが高い株は株価の下方硬直性が高いのです。

株価は下落して配当利回りは増加

 

コラム:日本の配当性向は低い水準

5年ほど前のデータではありますが、以下の日本企業と米国企業の配当性向の推移の比較をご覧下さい。

日米企業の配当性向の推移

 

米国の配当性向が40%程度と高いのに対して、日本は30%を下回る水準で推移しています。

自社株買を含めた総還元性向も低く、今後も日本の株主還元が改善されることが期待されています。

 

日米企業の総還元性向

 

配当金のデメリット

配当金にはメリットしかないように思えますが、デメリットもあります。本来企業は稼いだ利益を再投資することにより翌年度の利益を増価させていきます。

然し、配当金を拠出することにより再投資することが出来る金額が少なくなるので、利益の伸びが鈍化するのです。

 

以下ROEが20%の企業で今期の純利益100億円を配当性向が0%の場合と50%の場合で翌年度の利益がどうなるかを考えた例となります。

自己資本100億円でROE20%の企業が配当した場合と無配当の場合の比較

 

一年後の一株当たり利益(=EPS)は配当性向0%の場合24円、配当性向50%の場合は22円になります。そして株価は以下の式で算出されます。

 

株価 = EPS × PER

 

その為、配当をした方がよいのかどうかという点をPERが4倍、10倍、15倍の場合で考えていきましょう。

 

①PERが4倍の場合

夫々の場合の一年後の株式価値は
配当性向0%:EPS24円×PER 3 = 72円
配当性向50%:EPS22円×PER3 + 配当10円×(1-税率20%)= 74円

つまり配当性向50%の方が株主の価値は2円分最大化される。

 

②PERが10倍の場合

夫々の場合の一年後の株式価値は
配当性向0%:EPS24円×PER 10 = 240円
配当性向50%:EPS22円×PER10 +配当10円×(1-税率20%) = 228円

つまり配当性向0%の方が株主の価値は12円分最大化される。

 

③PERが15倍の場合

夫々の場合の一年後の株式価値は
配当性向0%:EPS24円×PER 15 = 360円
配当性向50%:EPS22円×PER15 + 配当10円×(1-税率20%) = 338円

つまり配当性向0%の方が株主の価値は22円分最大化される。

 

 

つまり例外的に低いPER3倍のような場合を除きROEがある程度高いのであれば配当せずに再投資した方が株主価値は高くなるのです。

今回はROEを20%としましたが、これを日本の平均値8%より少し高い仮にROE10%とした場合PERが10倍より低い場合は配当が妥当で、

PERが10を超えるような企業では配当をしない方が良いのです。

ROEが高い場合はPERがよほど低いPERでない場合は配当を出さない方がいいですが、

反対にROEが低い場合はPERが高くない場合を除いて配当を出した方が株主の為になるのです。

 

総合商社などではROEは10%未満で、PERが10倍以下なので配当することの方が株主の利益は高まるので、配当性向は平均よりも高かったんですね。

一方ある程度ROEが高い企業ではPERが一般的なレベルである10を超える水準であれば、再投資をした方が本当の意味での株主価値最大化につながるわけです。

まとめ

配当は自社株買とならんで株主還元策として注目を集めています。

→ 代表的な株主還元策である自社株買いとは?メリット・デメリットを事例を交えてわかりやすく解説する。

配当は確かに嬉しいのですが、配当金は拠出された時に税金が徴収されますし、企業としても次の事業に投資をすることはできません。

 

企業として次に投資をして高いリターンを見込めるのであれば、配当を出さずに利益を上昇させて株価が引き上げられた方が投資家に還元されるリターンは高くなるのです。

ROEが小さいような企業はそもそも稼ぐ能力がないので、再投資をするよりも株主に配当金として現金で還元し、株主がそれを別の企業に再投資した方が合理的な企業ということになります。

配当金を出しているから魅力的と短絡的に考えるのは危険です。なぜ、配当金を出しているのかという背景まで考えて投資判断を行う必要があるのです。

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